“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

「強み」は磨き上げて、はじめて「強み」なのです。

コンサルティングのお仕事を通して、比較的よく耳にする言葉の一つに、
「最近、価格競争が激しくて…」というワードがあります。

ある意味において、これは事実だと思います。
実際、ここ1年ほどで為替相場が大きく変わるなど、
環境が変化するスピードは、ますます早くなっています。

しかし、この言葉を聞くと、私がいつも思うのは、
「この会社は、まだまだ努力できるな…」
と、いう事です。


事業が成果をあげるためには、
「誰かにとって、何かの分野でNo1であること」
が必須条件です。

何年か前の大臣ではありませんが、
どんな良い商品を作っても、それが「No2」であれば、
お客様は自社の商品を採用してくれることはありません。

沢山の商品を見比べて、結果として2番目に良いものを
選択する顧客は、おそらくこの世に一人もいません。
だから、どんなに小さくても「No1」でなければならないのです。

どのレベルのNo1を目指さなければならないかは、
業種・業態によって様々です。
飲食店であれば、半径1~2kmのNo1で良いかもしれませんし、
ネットショップであれば、全国規模でのNo1を追う事になるでしょう。
それに伴って、
「誰かにとって」・・・・顧客を決める
「何かの分野で」・・・・強みを知り、強みを磨く
が、必要になるわけです。


さて、「誰かにとって」、「何かの分野で」、
あなたの所属する組織がNo1を目指すのなら、
とっても楽で、今日からすぐにNo1になれる方法があります。
もちろん、誰にでもできる方法です。

それが、「安易な値引き」です。

当たり前ですが、値段を下げれば、その瞬間はNo1になれるのです。
それも、何の苦労も努力もせずに。


しかし、ここには大きな落とし穴があります。

第一に、値下げは誰にでも出来るということです。
昨日まで、No2以下の順位だった企業が、
値引きすれば、一時的には売上が上がるかもしれません。
しかし、元々のNo1だった企業が追随したら、
結局は同じ序列に戻ってしまうでしょう。

第二に、一度下がった価格は、簡単には元には戻せません。
同じ商品から得られる利益率は下がり、
ますます苦しい戦いを強いられることになります。

第三に、本来やらなければならない「強みを磨く」という行動への
投資余力がどんどん削り取られるということです。
値段を下げるために安易なコストカットを進めていくと、
結果として「強みを磨く」という、本来あるべき行動すらできなくなります。

「牛丼戦争」などと呼ばれた、大手牛丼チェーン店の
三つ巴の価格戦争の結果は、皆さんもよくご存知でしょう。

20年ほど前に「リストラ」という言葉が流行したころ、
「成果主義」「効率主義」を推し進めた企業でも、
形は多少違いますが、同じ苦しみを味わっています。


もちろん、しっかりと裏付けとなる仕組みを作り、準備した上で、
価格戦略」として値段をコントロールすることは、
立派な戦略の1つだと思います。

しかし、「価格戦略」を有効に活用するのは、
決して簡単なことではないのです。

色々なクライアント様にお邪魔して、
経営者の方に「御社の強みは何ですか?」と伺うと、
自分がやりたい事”が、返ってくるケースが多々見受けられます。

その様な企業で、同じ質問を従業員の方にしてみると、
やはり“自分のやりたい事”が返ってきます。
または、“社長が○○だと言ってるんで…”、というパターンもあります。

自分たち視点の「強み」は、単なる思い込みに過ぎません。
お客様の視点で、「あの会社はここが強い」と言われて
はじめて「強み」と呼べます。

そのレベルに達するためには、
「強みの種」を見つけ、誰の目から見ても「強み」と認識される様に、
しっかりと磨き上げなくてはなりません。
「強み」は磨き上げて、はじめて「強み」と呼べるのです。

価格競争に巻き込まれて苦しいと感じている企業では、
ほとんどの場合、「強みを磨く」という行動を取っていません。
本来あるべき努力を怠ったままでは、この先もダメなままでしょう…。


あなた自身、あなたの所属する組織やチームの
「強み」は何ですか?
その「強み」は、日々、磨き上げていますか?
この機会に、いま一度チェックしてみてください。