“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

「金儲け」 と 「事業」 を混同していませんか?

こんばんは!
今日もお読みいただき、ありがとうございます!

本日のテーマは、「金儲けと事業の混同」について。

文字にすると明らかに思える、「金儲け」と「事業」の違い。しかし、私たちは日々の仕事の中で、この2つを混同してしまう事が多い様に思えます。

まずは、言葉をきっちり定義するために、デジタル大辞泉より引用します。
<金儲け>金をもうけること。
<事業>1 生産・営利などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事。 2 大きく社会に貢献するような仕事。

デジタル大辞泉さんでは、生産や営利を目的と言ってしまっているので、ちょっと違う気もするのですが、「目的」と「貢献」という要素は入っているので、ここでは突っ込まないことにしましょう(笑)

つまりは、「金儲け」とは、単にお金を目的としている。「事業」は貢献を目的としている。ここに大きな違いがあります。


ドラッカーは、著書マネジメントで、このように述べています。
「企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは、組織それ自体のためではない。社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織は目的ではなく手段である。したがって問題は、その組織は何かではない。その組織は何をなすべきか、あげるべき成果は何かである(マネジメント 上)」

これは痺れる文章ですね!

あらゆる組織は、社会において、何かの役割を担うために存在しているという事です。貢献を中心に据えることで、はじめて組織が存在する意義が生まれるのです。

「売上」や「利益」は、確かに組織にとっての血液です。しかし、目的とはなり得ません。人間にとって、血液を循環させることや心臓を動かすことが、人生の目的とはなり得ないのと同様です。

「売上」や「利益」は、組織が存続するための、生存条件の1つに過ぎません。重要な要素ではありますが、あくまで満たすべき条件でしかないという事です。


私たちは、学校を卒業すると、ほとんどの場合、何某かの仕事に就くことを選択します。この時点では、「自立して生きるため」が仕事の目的となることが、多いのではないかと思います。

多くの人は、この延長線上で仕事をし続けてしまいます。生きるために働くを、知らず知らずのうちに、選択し続けてしまいます。

生きるために働くでは、当然仕事に意味を感じられないので、人は何かべつの意味づけを探しはじめます。そして「金儲け」という、分かりやすくて権威を得やすい道具を手にします。「金儲け」によって自分自身の価値を証明をしようとします。

いずれ「売上」や「利益」、そして「効率」など、目に見える数字だけを追いかけはじめます。結果として「仕事=金儲け」という思考に陥りやすくなります。この様な思考スタイルで働く組織では、いつしか会社の中から「貢献」の2文字が消えていきます。社会における役割を果たせなくなります。当然、成果はあがりません。


私たちは「貢献によって成果をあげている」という事を、改めて認識しなければなりません。そして、「事業は貢献を束ねて、成果をあげるもの」として設計されなければなりません。

私自身も、かつて仕事をする意味が分からなくなった時代がありました。生きるために働くを仕事だと勘違いしていました。売上や利益、効率を追いかけることが直感的には違うと感じながらも、他の方法を知らなかったので、それを追いかけざるを得ませんでした。

「貢献」を中心に据えることで、この無意味の循環から、人は解放されます。そして意味を知ることにより、「売上」や「利益」という目に見える成果に対しても、より厳しく追いかけることが出来るようになります。

「貢献」を中心に据えることは、まさに「成果」へとつながる道なのです。