“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

変化に対応して成果をあげるのは、日本人の得意技?

こんばんは!
いつもお読みいただきありがとうございます。

今日、とあるクライアント様と「課題の整理」をしようという事になり、課題をまとめるための簡単なシートを作っていました。(結果として、あまり簡単ではないシートが出来上がってしまいましたが…笑)

私にご相談いただくクライアント様は、ほとんどの場合、
 ・売上が伸びない
 ・利益が出ない
 ・人が動いてくれない
という、3つの領域のどこか(もしくは複合)でご相談をいただく事が多い様に思います。コンサルティングの仕事をする上で、この領域が「表課題」と言っても良いかもしれません。

もちろん「表課題」は重要なのですが、マネジメントを考えていく上では、さらに「裏課題」が存在しています。一見するとマネジメントと関係なさそうに見えるので、見落とされがちな部分です。

今日は、この「裏課題」の入り口でもあり、最大の課題でもある「変化への対応」について。


私が言うまでもなく、人間はとかく「変化」というものが苦手です。昨日上手くいったことを、今日繰り返して、それが上手くいくと信じたい願望を持っています。

ビジネスの世界では、ずいぶん前から「仕組みをつくる」事によって、売上や利益をあげる事が当然となっています。

多くの企業では、この「仕組み」という言葉を「物理的に同じモノやコトを繰り返し生み出す仕組み」と捉えています。これは、過去数十年つづいた大量生産時代の名残だと思うのですが、私たちはまだ「仕組み」という言葉に、どこか固定的な印象をいだいている節があります。

最近では「科学の限界」という言葉もチラホラ聞かれる様になりましたが、ほんの20年ほど前まで、科学と論理の万能性が世界を支配している時代でした。

数値やデータによる論理的裏付けと、「固定的な仕組み」は、一心同体の関係です。当たり前ですが、「柔軟な仕組み」を構築しようとすると、数値やデータという論理的・科学的な手法は、非常に使いづらくなってしまいます。

人間本来がそもそも持っている変化への拒否感に加えて、論理的・科学的な検証手段を使いづらい事。これが、ビジネスの世界で「変化」を受け入れがたいハードルにしているのではないでしょうか? 「仕組み」の陳腐化を肯定することは、多大な負担の発生を意味するからです。


成果をあげられなくなる組織においては、これらの様々な変化を否定するために、多大な労力を割いています。変化の兆候に、問題の兆候に、目をそむけ耳をふさぐのです。これは私の経験に過ぎませんが、変化を否定する組織ほど、従業員のモチベーションが低い傾向がある様に思います。モチベーションの低い従業員を無理に動かそうとするから、権威的な傾向も強い様に思います。(権威とモチベーションの関係は、鶏と卵の関係なので、一概には言えないのですが…)

成果をあげ続ける組織は、これら変化の兆候を受け入れ、機会へと変えている様に思います。機会に変えるまでは行かなくても、変化は受け入れています。

日本の製造業では、かなり昔から「ヒヤリ・ハット活動」という活動が定着しています。正式には “ハインリッヒの法則” と言うのですが、1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故があり、300件のヒヤリ・ハットがあるという調査結果です。


私たちは僧侶のように荒行を積む訳ではないので、真の意味で「変化を受け入れる姿勢」を身に付けるのは困難かもしれません。ですが、私たちにとて必要なのは、自分の人生で、そしてビジネスの世界における変化を受け入れるだけなのです。

この点だけを解決するなら、「科学の限界」「論理の限界」を知っているだけで良い様な気がするのです。つまりは、西洋思想の限界を知っているだけで、それなりに変化に対応できると思うのです。

もともと神道・仏教をベースにした文化に生まれ育った私たち日本人。変化を受容し、変化を活用するのは得意な様に思えます。「日本古来の文化」と、「ヒヤリ・ハット」と「ものづくり大国」の間に、どこか関係性を感じてしまうのは、私だけでしょうか?