“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

「仕事のマネジメント」と「働きのマネジメント」

こんにちは!
いつもお読みいただきありがとうございます。
今日はこのあと夜まで予定があるので、移動中の新幹線から書いています。

先週末のドラッカー合宿での学びをふまえて、今日は「仕事のマネジメント」と「働きのマネジメント」について、まとめてみたいと思います。

どこかで仕事をしたことのある人なら、一度はこんな会話をしたり、耳にしたことがあると思います。
「従業員のために、どこまで働きやすい会社するべきか?」

働きやすい会社をつくれば成果もあがりそうな気がしますが、甘やかしてしまえば成果があがるどころか、むしろ業績は下がってしまう。このバランスに関する話は、絶対の正解はなく、それぞれの企業が最適なバランスを模索する必要があります。

一人ひとりの価値観と直結する問題でもありますし、働きやすさを実現するには相応のコストもかかるため、ひとたび飲み会のネタにでもなろうものなら、熱い議論が繰り広げられること間違いなしです(笑)

「仕事の生産性」と「人の成果」を最大のものにすること。一見すると矛盾する、この2つの整合性を取るためのツール。それをマネジメントと言います。今さらですが…(笑) 簡単に言えば、「会社の業績」と「働きがい」の両方を、高いレベルで追究するためのツールということです。

もし会社の内部で、「仕事」と「働き」2つの間に人それぞれの見解の相違があるのであれば、それは『マネジメントできていない』と理解して良いと思います。

もちろん簡単ではないことを敢えて簡潔に言っているだけなので、いま出来ていないとしても、落ち込む必要はありません。マネジメントを学べばいいだけの事なのですから。


「仕事の生産性」と「働きがい」、つまりは「仕事」と「働き」の双方を生産的にするためには、最初にその性質の違いを理解しておく必要があります。

「仕事」とは、論理的であり、客観的な存在です。分析の対象であり、管理することができます。

「働き」とは、主観的であり、感情的であり、論理ではありません。分析もできず、管理には適さない存在です。

『人を管理できない』と書くと、違和感をおぼえる人も多いかもしれません。「だって、会社は人を管理しているよね??」と思う人もいるでしょう。ですが、もし管理できているとすれば、それは人ではなく、人がやっている作業を管理しているだけの事です。

本当に人を管理できるのならば、「3分以内にアイディアを100個出しなさい」と言われて、出せなければなりません。「売上を来月は2倍にしなさい」と言われたら、2倍にできなければなりません。

こんな事は当然不可能です。小さな子供を1時間じっとさせておく事など出来ないように、「馬を水辺に連れていくことは出来るが、水を飲ますことは出来ない」の例えのように、そもそも私たちは、他人を管理することはできないのです。できるとすれば、自分自身の管理、セルフマネジメントだけです。

『成果をあげるためのマネジメント』を言い換えるならば、これら全く性質のことなる「仕事」と「働き」の双方をマネジメントすることなのです。「仕事」の生産性をあげるとともに、「働き」をより大きなものにすることなのです。性質の異なるこの2つを、多様な意見・多様な視点をふまえて統合していくという事なのです。

統合するための接着材こそ、『組織のもくてきをデザインすること』にほかなりません。会社によって表現は異なるでしょうが、一般的には理念やミッション、クレド等の形を取ることが多いのではないかと思います。


ここまで書いても、「働きのマネジメントなんて必要ない!」と仰る方もいると思います。実際、この話をすると、「意味は分かるんだけど、納得しきれないんです」とか、「それだと競争に勝てないのでは?」などと言われることもあります。

ですが、いま世界は「働きのマネジメント」の重要性に気付き始めています。少しづつではありますが、仕事の効率だけではなく、働く人の生産性を高めるマネジメントにシフトしつつあります。

昭和のドラマをイメージすると分かりやすいと思いますが、オフィスでタバコを吸って、灰皿を投げる高慢な部長たちは、いつの間にか絶滅しました。(まだ、多少は残っているかもしれませんが…笑)

最近では、仕事の管理だけに重点を置きすぎた、某有名居酒屋チェーンや、某有名牛丼チェーンで、アルバイトが集まらずに店舗閉鎖に追い込まれました。

私たちが気づかないうちに、「働きのマネジメント」は、その重要性を増してきているのです。あと20年もすると、「平成の頃ってひどい社会だったね~」と、笑い話のように語られる時代になるかもしれません。

「組織は人」という使い古された言葉の重みが、これからの時代に改めて増していくのかもしれませんね!