“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

感情のセルフマネジメントと、成果の関連性。

こんばんは!
今日もお読みいただきありがとうございます。

先日のエントリーでもチラッと書きましたが、ここ最近、「感情のマネジメント」や「潜在意識」を活用して成果をあげるメソッドを作るワークグループに参加させて頂いています。

そこで面白いことを教えていただきました。
「人から感情を取り除くと、論理的な意思決定ができるようになるのか?」

一般的なイメージからすると、「論理」と「感情」は相反するように捉えられる傾向があるのではないかと思います。ビジネスの世界でも、家庭や夫婦関係でも、『論理 vs 感情のバトル』ってありがちですよね?(笑)


アメリカのある脳神経学者の最近の研究によると、「感情」と「論理」の関係性について、面白いことが分かったのだそうです。彼の患者さんの事例が、それを顕著に示します。

脳腫瘍の手術により、IQや脳機能の全てが正常なままに、「感情」だけを失ってしまった男がいたそうです。元々有能なビジネスマンだった彼は、その後どうなったか? 

見方によっては感情的なブレがなくなって、論理思考バリバリのさらに有能な男になった様にも思えますよね?? しかし結果として、彼は仕事を一切できなくなってしまったそうです。

物事の優先順位を付けられなくなり、意思決定をできなくなり、良い/悪いの判断すら、ままならなくなってしまったとの事。『感情がなければ、人は意思決定ができなくなる』が答えなのだそうです。


私たちは感情や直感のレベルで、「ざっくりとした方向性」を決めています。例えば、良い/悪いや、好き/嫌い、安全/危険、などなど・・・。論理はそれを補完し、強化します。このようにして、人の意思決定はなされています。

もしこの『感情』という重要な意思決定ツールに、不具合があったらどうなるでしょう?  人生における重要な意思決定を、不具合をかかえたままの『感情』が判断してしまっているとしたら、それほど恐ろしいことはありません。

ですが、実際に私たちは、「不具合をかかえたままの『感情』」によって、人生の重要な意思決定をしています。「思い込み」とか、「トラウマ」と言われるものが、この不具合に相当します。

小さいころの記憶は、大人になると忘れてしまうものですが、脳の中には完璧な記憶として保持されているのだそうです。人間の脳は4~5%ほどが「思い出せる記憶(顕在意識)」の領域で、残り95%ほどは「思い出せない記憶(潜在意識)」と言われています。

幼少期にあった悲しい経験や、思い通りにならなかった事は、潜在意識のレベルでは完全な記憶として残っています。潜在意識には時間感覚がありません。過去に起きた悲しい記憶でも、現在進行形で進んでいるのです。

もし今、目の前にいる人が、あなたの手をつねったら、あなたはどうするでしょう??  きっと、「痛い!」と言って払いのけますよね? 『現在』の痛みに対しては、当然のことながら “痛み” を除去するための対応を取ります。

さて、さきほど潜在意識には時間感覚がないと言いました。時間感覚がないという事は、10年前の出来事も、現在の出来事も、「いまここの出来事」として捉える訳です。現在進行形の『心の痛み』として受け取ってしまうのです。この『心の痛み』を払いのける衝動的な反応が、「思考の癖」です。

「〇〇なタイプの人を見ると、なんだかイライラする」
「〇〇なタイプの人とは、どうしても付き合いたくない」
「そもそも、人間関係がめんどうくさく感じる」
「自分は有能(あるいは無能)と感じる」
などは、すべて心の痛みを払い除けるための、思考癖と言えます。

そして、自分の心の痛みが収まったかどうかを確認するために、日々、セルフチェックを繰り返すのです。いわゆる「〇〇魔」とか、「〇〇癖」などは、その典型的な例です。


人は必ず、生まれ育ちの過程で、心に小さなキズを残していきます。大小さまざまでしょうが、それが感情に不具合を生み出している可能性があります。

そして感情に不具合を持ったまま、意思決定を行っているのです。成果をあげるための意思決定をしたいはずなのに、いつの間にか自分の「心の痛み」を解消するための意思決定をしてしまう可能性があるのです。


成果をあげる意思決定をするためには、感情のセルフマネジメント力を高めていく必要があります。いま進めているワークグループでの活動は、そのためのものです。

1日もはやく形にして、色々なかたに使っていただきたいな~、、、と思う次第です。焦ってはいませんが、早く形にしたくて仕方ありません(笑)