“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

感情と潜在意識を活用したマネジメントは、なぜ成果をもたらすのか?

こんばんは!
今日もお読みいただきありがとうございます。

ここ最近、このブログのエントリーは「感情と潜在意識を活用したマネジメント」のお話が中心になりつつあります。ドラッカー教授とは随分とご無沙汰です…。と、ここまで振っておきながら、今日も『感情』のお話にします…(^_^;) 

ブログの説明にもある通り、このブログの目的の1つは「私自身の知識をまとめるため」です。何度か『感情』のお話を書かせて頂いたおかげで、ようやく私自身も、この話を中締めするゴールらしきものが見えてきました。「えっ?いまさら??」と思われた方、スミマセン。。。(笑)

言い訳がくどくど長くなりましたが、本題に入ります。今日はちょっと長めのエントリーなので、時間のある時にゆっくりお読みください。


以前にも書いたと思いますが、私は2年ほど前、「内観」という瞑想を主体とした研修を受けました。この際、自分の『感情』がどのように作られているのか、1週間という時間をかけてゆっくり俯瞰するという貴重な体験をすることができました。私が『感情』や『潜在意識』の可能性に気づいたきっかけは、この「内観」の経験にあります。

特に興味を頂いたのは、感情と人の行動についての関連性でした。私たちは生まれ育った過程で、必ず自分の思い通りには行かなかった、挫折の経験をしてきています。

挫折の中には、「自分が不得意だったから挫折したもの」のほかに、「自分が人より得意だったから、周りから理解されずに挫折したもの」もあります。「周りの人の幼児性が引き起こした挫折」もあります。

私たちは、これらの挫折を引きずり続けて人生を生きています。あくまで過去の挫折なのですが、時間の感覚を持たない潜在意識の世界では、この挫折を過去のものと受け取っていません。消化しきれなかった挫折は、今も形を変えて自分の行動に影響を与え続けています。

自分に挫折を与えた人と似た様なタイプの人を見つけてはリベンジをしたり、強い “こだわり” や “執着” として現れたり、逆に目に触れないように遠ざけたり…という行動に現れる事が多いようです。

社会で仕事をするにあたって、当然のことながら、これらは成果をさまたげる行動となります。例えば上司や部下にきつく当たったり、本来の優先順位とは異なることに強くこだわったり、やらなければならない仕事を後回しにしたり…。多くの場合、「頭では分かっているのに、なぜかそうしてしまう」という行動として表出します。

ドラッカー指摘した通り、現代は「知識によって成果をあげる時代」です。昔のように指示された通りに作業を行う肉体労働者の時代であれば、これらの感情に起因する問題行動も、そこまで成果を妨げなかったでしょう。

しかし、知識主体の社会となった今、「頭で分かっているのに、なぜかそうしてしまう」という行動は、その原因を特定し、解消してあげない限り、自分自身の成果をさまたげる重要な問題となりつつあります。

逆に、『感情』をうまくマネジメントする事が出来れば、それだけ自分自身を成果のあがる行動へと誘導することができます。周りとのコミュニケーションを円滑にし、変化を機会とすることが出来るようになります。

私が『感情』や『潜在意識』を活用したマネジメントに興味を持つのは、こう言った理由からなのです。まさに個人が成果をあげるための鍵だと思っています。


さらには、個人のみならず、組織においても『感情』や『潜在意識』を活用したマネジメントが、ますます成果と直結するようになるのではないかと思っています。

この20~30年は、ITによる「効率化」の時代でした。「仕事を効率的なものに設計し直す」ことによって、非常に大きな成果をあげてきました。しかし、リーマンショックの辺りからでしょうか、これも限界に差しかかりつつあります。

これまでは単純な欲求を満たす商品やサービスを提供すれば良かったのが、これからは欲求と欲求を組み合わせて、より複雑な欲求を満たす商品やサービスを求められる時代になります。「組み合わせて、新しい何かを生み出す」ためには、知識によって成果をあげる必要性が、ますます増すのです。

この変化に伴って、組織をマネジメントする手法が大きく変わります。特に、人の動機付けの面は、大きく変わる事になります。鍵となるのが、「内発的な動機付け」です。

いわゆるアメとムチ、恐怖や金銭的報酬による動機づけ(外発的な動機付け)は、知識によって成果をあげる人には適用できない事が分かっています。金銭的報酬は、知識労働者にとって積極的な動機とはならないのです。これに替わるのが、「価値観による自己実現」と「自己目標管理」を主体とした、「内発的動機づけ」です。

これからの時代、組織は個人の「価値観の実現」のための機会を提供することにより、「組織に共通する使命や価値観」を実現して、成果をあげる事になるのです。

『感情』と『潜在意識』を活用することで、この内発的動機づけの基となる「個の価値観」を知る事が容易になります。組織そのものと、働く人の成果を後押しすることになるのです。


これは私だけが感じる事ではないと思いますが、世の中で働いている人の大多数が、「現実ってこんなもんだから、現実に合わせるしかないんだよね…」と、どこか諦めにも似た気持ちを少なからず抱いているのではないかと思います。

上の世代の諦めが下の世代へと受け継がれ、さらに若い世代の情熱を奪う。こうした負の連鎖が、今の日本には存在すると思うのです。

『感情』や『潜在意識』は、言うなれば人が『考え』『行動する』ためのOSの様なものです。時代が変わり、仕事のスタイルが変わったのに、古いOSのまま組織をマネジメントし続けている事が、「現実ってこんなもん…」という負の連鎖の正体なのではないでしょうか。

新しいOSへと入れ替える行為、つまり『感情』や『潜在意識』を活用するとは、「自分の人生と向き合うこと」そのものでもあります。人生で挫折した瞬間や、傷ついた瞬間とも向き合う事になります。何10年も繰り返してきた、慣れ親しんだ行動の一部を手放す勇気も必要になります。誰でも「自分を変える事」に対しては、少なからず恐怖を感じるはずです。

ですが、実は人間って常に「自分を変えている」ものでもあると思うのです。

納得がいかないのに「現実って…」って愚痴りながら、しぶしぶ現実に合わせて行動しているのも、結果として自分を変える行動です。自分の価値観を知り、成果をあげるために清水の舞台から飛び降りるような思いで自分を変えるのも、同じ『自分を変える』行動なのです。

現実は合わせるものではなく、踏まえて活用するものです。自らの価値観を知り、その価値観を実現するために働くという事は、働く行為そのものが幸福へと繋がることを意味します。

仕事の成果は仕組みによってあがりますが、働く成果は価値観の実現によってあがるものなのです。この両輪を回すために、『感情』と『潜在意識』を活用したマネジメントは、非常に有効なツールとなり得るのではないでしょうか。