“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

“成果”視点から「結果思考」と「プロセス思考」を考える。

こんばんは!
今日もお読みいただきありがとうございます。

「結果」が重要なのか、「プロセス」が重要なのか…。

先週からワールドカップが始まりましたが、スポーツの世界では、ファン心理も手伝って、どうも「結果思考」に偏ってしまう様です…(笑)

スポーツに限らず、ビジネスの世界でも「結果」と「プロセス」の論争は、長年続いています。どちらか一方が正しいと断言しづらいのが、この論争の困ったところです。

物事をなんでも二元論で考えてしまうのは私たちの悪い癖だと思いますが、今日は「結果思考」と「プロセス思考」について考えてみたいと思います。


最初に結論を言っておくと、「成果をあげる」という視点で考えるならば、私は「プロセス思考重視派」です。もちろん結果を軽視する訳ではありませんが、プロセスを重視する姿勢なくして、成果は有り得ないと考えています。

「結果思考」は、何を引き起こすのか?
以下、その課題を2つの視点から考察したいと思います。


課題の1点目は、「楽をしたがる人」を増やしたり、「見て見ぬふりをする人」を増やすという事です。少し前に日本に成果主義が導入されたあと、横の連携が取れなくなって問題が多発しましたが、あれは結果思考がもたらしたものだったと、私は考えています。

結果思考がもたらす問題点の1つに、「結果さえ出れば、他はどうでも良い」という個人主義的な考え方を許してしまう点が挙げられます。

もちろん全ての人がその様な考え方をしている訳ではありません。しかし、どんな組織にでも1人くらいは「結果は出してるんだし、別に他はどうでもいいっしょ」という人が現れます。1人が楽をしはじめると、アリの一穴のように崩れていくのがチームワークです。

結果思考は、「自分さえ良ければ」という人間を生み出します。結果思考のマネジメントさえなければ善人であれたはずの人を、自己中心的な存在にします。この自己中心的な人材が、結果として組織やチームに破壊の連鎖をもたらすのです。


2点目は、「問題の本質を見落とす」という点にあります。

例えば、3カ月連続で目標をクリアしている営業さんがいるとします。結果思考で考えれば、彼は特に問題のない営業さんです。場合によっては優秀な人財とされるかも分かりません。

しかし、営業目標という数字は、彼が真に成果のある仕事をしたかどうかを表す訳ではありません。もしかすると前任の営業さんが作った信頼を少しづつ食い潰しながら、見た目上の数字をあげているだけかもしれません。値引き販売を連発して、見た目上の数字を作った可能性も有り得ますが、これらは数値としては表れません。

そもそも、この営業さんの仕事ぶりに対する評価を、結果だけで行う事などできるはずなどないのです。誰もが分かっている事です。

しかし、ここまで分かっていながら、私たちは不思議と「結果への期待」を人に要求します。結果思考で人に指示を出したり、結果で人の働きを評価する事も多々あります。どこかに矛盾があるのではないでしょうか?


久し振りに、ドラッカーの一文を引用したいと思います。

『あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ』(経営者の条件 第3章)

いつ読んでも、なかなか辛辣な一文です。

「結果思考」は、成果の3つの領域のうち、“直接の成果” にフォーカスしているに過ぎません。残り2つの領域、つまり “価値への取り組み” や “人材の育成” における成果は、「プロセス思考」によってあげる事ができるのです。

真に成果をあげる人は、「完遂すれば自ずと結果につながる様に、プロセスを設計・マネジメントする」のです。これは、リーダーが自分自身に責任を要求する、非常に厳しいスタイルとも言えます。

「成果をあげるために、プロセスに対する厳しい要求を完遂する」
“成果”という視点から見るとき、この様な姿が浮かびあがるのではないでしょうか?