“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

「正しさ」のへのこだわりを捨てることが、成果への第一歩。

こんにちは。
今日もお読みいただきありがとうございます!

コンサルティングの仕事をしていると、たまに「何が正しいのですか?」と聞かれることがあります。事業の方向性、人と組織の動かし方、ミッションと収益のバランス、仕事には「どれが正解とも言い難い」選択があふれています。

少し前まで、私はこれらの「正解探し」の質問にも、がんばって答えるようにしていました。状況を踏まえて判断すれば、ある程度は正しそうな方向性くらいは分かるので、なんとか答えていた訳です。

ですが、最近はこの質問に答えるのをやめました。「正しさ」を基準に会話していると、かえって成果を妨げることに、だんだんと気づいてきたからです。もしかすると、私の中にある「正しさ観」の変化と関連しているかもしれません。


「正しさ」には、大きく分けて2種類が存在します。

1つ目は、『人為的な正しさ』です。人間がルールを決めたものには、正解が存在します。1+1は世界中どこに行っても2が正解です。法律や組織のルールは、遵守することが正解です。(中には悪法やおかしなルールもありますが…)

2つ目は、『意見としての正しさ』です。他人はどう感じていても、自分の視点から見れば正しいことは、誰にでも存在します。“日本の景気がこれからどうなるのか?” “新商品はヒットしそうか?” “日本代表はワールドカップで予選リーグを突破できそうか?” 。これらの質問に答えるとき、誰もが自分の意見を正しいと信じて発言しますが、そこに絶対はありません。


私たち人間は、「正しさ」を保障されないと、どうも不安になる生きものの様です。何が正しいか自信を持てないと、「正しさの権威」を人に譲る傾向があります。

ニュースや新聞などのメディアの情報を盲信したり、実績ある人に判断を委ねたりします。自分なりの「意見」を放棄することで、不安感から逃れようとします。もし意見が外れたとしても、他責にできる余地を残したがるのです。

こう考えていくと、「正しさ」を追い求める心というのは、一種の「弱さ」なのではないかと思えてきます。弱さに対しては、自分自身の人間力を鍛え、努力によって克服するしかないのではないでしょうか?


サッカーの予想くらいなら娯楽として楽しめますが、ビジネスにおいては会社やチームの命運を左右する、非常に重たい選択を迫られることがあります。

そして、その選択肢も1つは「80点くらいに見えるもの」、もう1つは「78点くらいに見えるもの」、また1つは「75点くらいに見えるもの」からの選択だったりします。

ここで「正しい選択」をしようとすれば、それがどんな優秀な人であっても困難を極めます。短期・中期・長期で効果を予測しても、それがたいした判断材料にはなり得ません。いくら情報を集めても、かえって迷いを増やすばかりです。真の選択に迫られるとは、そういう事なのです。


真に成果をあげる人たちを眺めていると、これら「正しさ」の選択に対して1つの傾向がある様に思います。

「自らの人生を通して実現したいこと」や「自らの使命」から、彼らは選択をしているのです。『正しいものと、正しいものの間から、さらに正しいと思える答えを選択をする』という姿勢が習慣化されているのです。

これを組織に置き換えて考えるなら、「組織のミッション」や「組織の実現すべき理念」を踏まえて、意思決定するという事になります。

自らのエゴと向き合い、正しさという思い込みと向き合い、組織の成果を中心に考えるとき、私たちははじめて成果のあがる意思決定をできる様になるのではないでしょうか。