“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

「深い理解」をする人は、どこを見ているのか?

人とお話していると、ごく稀に、「なんでこんなに深い理解が出来るんだろう?」とか、「なんでこんなに深い洞察が出来るんだろう?」という人に出会う事があります。

逆に、ものすごい頭がよくて知識もあるのに、「短絡的で、なんとなく浅いな~、、、」という人も、残念ながら存在します。

結論を先に言ってしまうと、自分の得意とする思考スタイルを知っているか、知らないかという話なのだと思います。そして、これを知らないと、どこかに落とし穴が待っていたりもします…(^^;

今日は、そんなお話です。

 

 

思考には、「抽象化」と「具体化」という、方向性の異なる2つのスタイルがあります。

「抽象化」というのは、組み合わせて全体を俯瞰する力。統合する力。目の前の現象の奥にあるものを見て、そこから全体を知覚するような思考スタイルです。

「具体化」というのは、その名のとおり具体化にする力。分解する力。目的や背景から、いつ?・どこで?・なにを?のような行動へと落とし込む思考スタイルです。

 

「抽象化」の思考に優れた人は、理解のレベルがとても深いかわりに、動きだすまでのスピードが遅くなる傾向にあります。

「具体化」の思考に優れた人は、スピードや集中力に優れるかわりに、正解のない問題や変化を苦手とする傾向があります。

 

算数で例えると分かりやすいと思うのですが、計算問題をスピーディーに解く能力が「具体化」スタイルで、習った公式を重ね合わせて応用問題を解く能力が「抽象化」スタイル・・・、という感じです。

ちなみに私は、「抽象化」スタイルの方が得意なので、普段は無意識に「抽象化」のスタイルでモノゴトを見ています。「具体化」のスタイルは、必要なときだけ意識して使う感じです。

 

 

この2つの思考スタイルについて知っておくと、人と人とがコミュニケーションをする上でのストレスが、かなり軽減されます。

例えば具体化スタイルが得意な上司の下に抽象化スタイルが得意な部下がつくと、部下は上司の指示の意図が分からなくて苦労することになります。そこで部下が「この目的は何ですか?」などと聞こうものなら、上司の側もストレスに感じるかもしれません。

逆もまた然りです。抽象化が得意な上司の下では、具体化が得意な部下は「自分で目的を考えて判断できない」と評価されてしまうかもしれません。

お互いの思考スタイルに対する配慮があれば、こういう行き違いのかなりの部分は、未然に防ぐことが出来るのではないでしょうか?

 

 

成果をあげる人は、この2つの思考スタイルの両方ともを使いこなしている人と言えるでしょう。

「抽象化」によって深い洞察と知覚を行い、「具体化」によって経験を積むのです。このサイクルを回し続けた人が、結果として「深い理解」を得ることになるのです。つまり、単なる情報を、経験の伴った知識へと昇華させることができるのです。

無意識に使っている自分のスタイルだけに執着すると、そこで成長は止まります。

「深い理解」と「浅い理解」の違いとは、最終的にはこういった心の執着の部分にあると言えるのかもしれません。