“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

いわゆる「ヒット商品」を企画していた日々のこと。

先週末から5日間ほど、北海道に行ってきました。
もちろん、お仕事です(笑)

出張中に札幌でとある方とお会いした際、私がこれまでやってきた仕事について色々とご質問をいただいたのですが、かつて手掛けていた「商品企画」のお話について、とても興味を持っていただきました。

私の悪い癖なのですが、ひととおりコツを掴むと、勝手に飽きてしまう癖(笑)がありまして、、、近ごろは商品企画のことを人に話すことすら忘れていたのです…(^^;
  

  

もう7~8年まえの事ですが、私はとあるECサイトの責任者をしていました。RとかYではじまる某ショッピングモール業界では、まあまあ有名なお店でして、そこで商品企画をメインのお仕事にしていました。

私の持論なのですが、いわゆる「ヒット商品」を生み出すコツは、実はひとつしかありません。

「ひたすら観察すること」
それだけです(笑)

 


ECサイトの運営をやっていて気付いた事があります。売るという事だけに単純化して考えるならば、やる事は本質的にたった2つしかないという事です。

① 採算の合う集客導線を見つけること
② 売れる商品と売り場を企画すること

この2つを支えるベースが「観察」です。

私の場合、ショッピングモールで運営していたので、①はある程度用意されているものを活用し、②は独自のノウハウを練り上げる必要がある環境にいました。なので、今でも②のノウハウの方を強みにしています。

私が入社した当時の年商は5~6億円の会社でしたが、この規模感でも年間1億を超えるヒット商品が簡単に生み出せました。

もちろん今とは時代が違うので、少しアレンジして使わなければなりませんが、基本はなにも変わっていません。人の行動特性そのものを扱っているからです。

 

 

コンサルの仕事を始めてから気づいた事ですが、ほとんどの会社は
「自社の得意なこと」
「自社のやりたいこと」
「他社との差別化」
からスタートしています。

逆にヒットする商品企画は、
「顧客が欲しているもの」
「顧客の声」
からスタートします。

100%顧客からスタートし、あとで自社らしくアレンジします。顧客からスタートするために、「先入観なく観察すること」というステップが重要です。

私の場合、モール系のECサイトが主戦場でしたので、ありがたいことに「ランキング」と「レビュー」という2つの仕組みを使うことが出来ました。

多少のバイアスはかかっていましたが、いま顧客が欲しているものと、その商品に対する顧客の声を観察することが出来ました。



例えば布団セットの商品企画をした際は、こんな感じです。

当時、3,980円の中国製の布団セットが大ヒットしていました。この値段にしては質も悪くはなく、しっかりと企画されたものでしたので、後発で同価格帯に商品を投入しても勝ち目はないだろうと、容易に予測できました。

その商品のレビューを見ていると、決して大満足ではないものの、お客様は価格相応に満足している事も分かりました。しかし、お客様のコメントを見ているうちに、ある傾向に気づきました。

「安かったので」とか、「この値段なら失敗しても…」のような言葉が並んでいたのです。この言葉の裏にあるお客様の心理は “不安” です。実物を見ていないし、質もよく分からないけど、売れてるし実績もあるからダメ元で買ってみよう!という気持ちが読み取れました。


そこで、私はこんなコンセプトで商品開発をする事にしました。
「安い布団を買って失敗した経験のある方へ!」

売り手側は、誰もが価格競争に目が向いているタイミングでした。ここにあえて逆張りをして、誰も目を向けていない5,980円のゾーンに日本製の商品を投入すると決めたのです。

価格帯を上げたとはいえ、コンセプトを実現するための予算は限られています。そこで予算の大半は「敷き布団」に集中的に投下することに決めました。季節によってニーズが変わる掛け布団ではなく、敷き布団の満足度をあげることで満足度の高い商品になると読みました。この予測は、結果として的中しました。

こうして企画した新商品は、結果として半年で1万セットを販売する大ヒット商品になりました。お客様の不安を解消し、商品としての納得度も上げたことで、トレンドに乗ってからは販促費をまったくかけなくても自然と売れ続けました。

この商品を企画するにあたり、私が意識したことは「顧客を観察すること」。ただ、これだけです。先入観なく観察をするという事を意識していれば、お客様すら気づいていない潜在的なニーズを発見することが出来るのです。

 

 

その後、私自身の課題意識も仕事内容も変わっていってしまったので、しばらく商品企画の知識は使わないままになっていました。

苦労して編み出したノウハウでもなく、とても当たり前のことを自然にやっていただけなので、存在すら忘れていました…(^^;

ですが、あらためて人から指摘されてみて、実は価値があったことを思い出しました(笑)

 


あれから10年近くが経ち、いまは「人が生き生きと働く、エネルギー溢れる組織づくり」というテーマでお仕事をする様になりましたが、あらためて思うのは、人が生き生きと働くためには、こういった商品企画の原理の方も大事だな~、、、という事。

自分にとっては、ずいぶん前に一度は飽きてしまった古井戸のような知識(笑)ですが、必要とされる場があるなら、あらためてこういう知識も提供していったら良いかな~、と感じています。

 

 

 

---------------------------------------------------
  <講座および読書会のお知らせ>
---------------------------------------------------

【ライフ・イノベーションvol.1】
「感情エネルギー」について学び、それをドラッカーのマネジメント原理に則って人生のデザインに活用する半年間の連続セミナーです。


◇東京 6/12(日)より開講  単発参加:20,000円
(全6回コース:通期参加は10万円)
※イベントページは出来次第、ご案内させていただきます!


◇札幌 7/28(木)より開講予定  単発参加:20,000円
(全6回コース:通期参加は10万円)
※イベントページは出来次第、ご案内させていただきます!


 

【スカイプ de ドラッカー読書会】
主に初心者の方を対象とした読書会です。ドラッカーのマネジメントの中でも、「知識を使って働くすべての人」を対象としたセルフマネジメントの分野を扱います。
課題図書は、「プロフェッショナルの条件」です。
(スカイプにログインできる環境は、ご自身でご用意ください)

◇第1回 5月30日(月)19:30~21:00◇
(全10回コース:通期参加は45,000円/単発参加は5,000円)

https://www.facebook.com/events/1722284191372613/