“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

貢献の中にこそ、真のやりたい事がある。

近ごろ「やりたい事をやりなさい」という風潮が、とても強い様に思います。
時代の流れなのかもしれませんし、教育の影響もあるかもしれません。

この「やりたい事」というのは、非常に曲者です。
ましてや、仕事にしようと思うと、困難を極めます。
ほとんどの場合、「やりたい事」とは、自己満足に過ぎないからです。
つまり、誰も必要としていないのです。

天才的な才能を持つごく一部の人を除いて、
やりたい事を成果につなげられる事は、稀なのではないかと思います。


私の場合、そもそも「やりたい事」が見つからなくて困っていました。
「やりたい事」をやろうにも、まずはそれを探すところからです。
すぐに「やりたい事」を見つけられる人を、とても羨ましく思ったものです。

しかし、「やりたい事」が簡単に見つからなかったお陰で、
とても良く分かったことがあります。
『どんな「やりたい事」を探せば、それが成果につながるのか』です。


10代や20代の若い頃なら、生活を犠牲にしてでも
「やりたい事」を貫く生き方もあると思います。
しかし、私の様に30代半ばまで来てしまうと、そうも行きません。
生活していくためにも、やはり一定の成果をあげなくてはなりません。

逆に言えば、成果があがる「やりたい事」さえ見つかれば、
一生「やりたい事漬け」の人生を送ることもできます。

“成果” を生む主原料は、「貢献」しかありません。

「貢献」できることの中にある「やりたい事」でしか、
成果につながらないのです。
これを理解しているかどうかが、一番の鍵のように思います。


少し前になりますが、とあるクライアントさんの20代前半の若手社員に、
「私は○○○のような仕事がしたいのに、雑用ばかりやらされるんです…」
と、悩み相談をされました。

私はこう質問してみました。
「あなたが望み通りに○○○の仕事をしたら、それは成果につながりますか?」
「それはあなたの仲間のため、チームのため、会社のためになりますか?」

彼はしばらく黙ったあと、こう反論してきました。
「・・・わかりません。でも、雑用ばかりじゃ、いつまで経っても成長しないし、やりたい事も出来ないじゃないですか!」

私はこう答えました。
「君がやりたい事をやっても、それが成果につながらなければ、続けることは出来ないし、単なる自己満足だよね」

「それに、全然成果のあがらない “やりたい事” をいくら頑張っても、君はいずれ飽きてしまうんじゃないの?」

「まず、自分が成果をあげられる仕事をつくるのが最初。それをいくつも作ったら、自分がどんなことに貢献できるか分かってくるよね?」

「自分ができる様になった“貢献”の中に、一生をかけて“やりたい事”を探してごらん。そのやりたい事なら、周りも応援してくれるんじゃないのかな?」


彼は今、それまで雑用だと嫌がっていた仕事にも、
少しづつ前向きに取り組む様に変わりつつあります。

彼は、人とのコミュニケーションが得意ではありませんでしたが、
怒られながらも、人に聞きに行く様になりつつあります。

どこまで支援できるか分かりませんが、
私は彼が貢献の中にやりたい事を見つけられる日まで、
応援してあげたいと思っています。

「やりたい事」を仕事としてやる方法は沢山あると思いますが、
彼がいま頑張っている様に、貢献の中に「やりたい事」を見つけるというやり方も、
なかなか良いものではないでしょうか?