“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

使う目的がなければ、組織やチームに意味はない

小さいころ、こんなことを思った事ってなかったでしょうか?
「なんで勉強しなきゃいけないの??」

学校が嫌だった訳ではないですし、勉強が嫌いだった訳でもありませんでしたが、
親から「勉強しなさい!」と言われるのは、本当に嫌なものでした。

当たり前ですが、小さな子供にはまだ、知識の使い道は分かりません。
大人になって、後から分かってくるものです。
しかし、“学ぶこと”の意味を知らない当時の私は、
「いかにサボるか?」を必死で考えていました(笑)


大人になった今、私たちは社会に属しています。
ほとんどの人は、最終学歴となった学校を卒業した瞬間から、
ある日突然「社会人」と呼ばれるようになったはずです。

社会人になると、ほとんどの場合、何某かの組織に属することになります。
組織に属さなくても、必ずと言って良いほど組織と関わることになります。
そこでは必ず「成果をあげること」が求められます。

ここで1つの壁にぶち当たります。
「そもそも、何のために成果をあげなくてはならないのか?」
ほとんどの場合、給料をもらってるんだから当然!という説明をされます。

次に、2つ目の壁があります。
「何をもって自分は成果をあげたと認められるのか?」
ほとんどの場合、組織によって良いことが成果とされます。

さらに、3つ目の壁があります。
「組織にとっての成果は、社会や顧客のために良いことなのか?」
「組織にとっての成果は、自分にとって良いことなのか?」

この辺りで、ほとんどの組織では、説明が曖昧になってきます。
私も昔、上司にしつこく聞きましたが、最終的に怒られました(笑)

おそらくは、当時の上司も説明しきれなかったのだと思います。
つまりは、組織の目的が定義されていないか、
周知されていない等の理由で、組織の目的として機能していないのです。


子供の頃の勉強と同じく、目的のない行動を強いられると、
人間の本能は、必ず「いかにサボるか?」を考え始めます。

「うちのスタッフは、言われた事しかやらないんです…」と、
悩んでいる企業や組織があるとすれば、
原因は、かなりの確率で “組織の目的” に起因しています。

おおよそ、こんな3択ではないでしょうか?
 ・そもそも組織の目的が定義されていない
 ・目的はあるが、言行不一致になっている(目標設定や指示)
 ・目的が外部への貢献ではなく、内部の利益となっている


手や体を動かす肉体労働者をマネジメントしていた時代には、
人は指示だけで動かせるという間違った幻想がありました。
成果が行動量に比例していた時代は、この方法で、何とかなりました。

しかし今は、仕事の成果=行動量ではありません。
指示によっていくら人を動かしても、成果があがるとは限りません。
成果は、どんな効果を生み出したかによって定義される時代になったのです。

この時代の変化に気づかなくてはなりません。

成果が効果によって定義される今は、行動の強制ではなく
「いかに人がやりたいと思える環境をつくるか」に、
主眼を置く必要があります。

そのために、「組織の目的を定義する」という事が必要なのです。


組織は道具です。

使う目的が分からない道具に意味がないのと同様に、
使う目的が定義されていない組織もまた、意味はありません。

人の強みを活かして顧客に貢献できるように、
組織の目的を定義しなければならないのです。


最後に、ドラッカーのこの言葉を引用して、締めたいと思います。

『企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは、組織それ自体のためではない。社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織は目的ではなく手段である。したがって問題は、その組織は何かではない。その組織は何をなすべきか、あげるべき成果は何かである。』
(マネジメント 上)