“もくてき”のデザイン -成果をあげる組織づくり・人づくりのヒントー

働くことを通して「豊かさ」や「幸せ」を味わう人を増やし、人のエネルギーを最大化する組織・チームをつくること。ドラッカーのマネジメントや、脳・メンタルなどの記事を中心に、成果をあげる組織・チームづくりのヒントをお届けするブログです。

人の多様性を活かすマネジメントの入り口。

こんばんは!
今日もお読みいただきありがとうございます。

本日は、「人の多様性を活かすマネジメント」について書きたいと思います。
(1回では書ききれないので、今日は入り口の部分だけです)

私たちには、人それぞれに「強み」と「弱み」があります。
理想から言えば、組織とは、お互いの「強み」を活かしあい、「弱み」をカバーしあうためにあります。これが成果をあげる組織の基本です。

しかし前回も書いたとおり、さまざまな組織で「強み」による人の支配が横行しており、結果として沢山の人の強みを無駄にしてしまっています。これが組織における現状です。

そして、このマネジメントスタイルから抜けようにも、組織を円滑にマネジメントする、替わりの仕組みを見つけることが出来ずに、苦労を重ねています。


現在、多くの企業では、指示・命令によるマネジメントが基本とされています。マネジメント改革を進め、「うちの会社は自主性を重んじてます」などと言う企業もありますが、骨身にまで浸み付いたこのマネジメント手法から、完全に脱却している企業には、滅多にお目にかかれません。

ここには1つ、「指示・命令」という言葉に対する、大きな勘違いがある様に思います。

組合運動の影響か、はたまた歴史の産物かは分かりませんが、私たちは「指示・命令」の対局に、どうも「自由」を置きたくなる癖がある様なのです。

はっきり言いますが、指示や命令によるマネジメントの対局にあるのは、『自由放任』ではありません。自由放任にしたら、どんな組織もあっという間に崩壊します。

組織は「共通の目的に向かって、それぞれの強みを持ち寄って、顧客に貢献するため」に存在しています。指示や命令の対局に置かれるべきマネジメントとは、「目的」に向かって人の「多様性」を活かすことです。


「人の多様性を認める」と簡単に書きましたが、実はここが、間違いを犯しやすいポイントの1つでもあります。私自身も、かつでここで間違いを犯した1人です。

本当の意味で「人の多様性を認める」ためには、まずは自分自身の心癖を知らなければならないのです。

人には元来、「認められたい」という願望があります。元をたどれば、幼少期の「親に愛されたい」という、ごく自然な願望から来るものです。もっと言えば、生存本能から来ると言っても良いかもしれません。

赤ちゃんだった頃、無限ともいえるほどに注がれた親の愛も、幼稚園や小学校に入るころには、当然ながら愛情のスタイルが変わります。いつまでも哺乳瓶でご飯をもらう訳にいかないのは、当たり前の事です。

大人から見れば、ごく自然な事なのですが、幼少期の子供にとっては、「親に愛されなくなった」という危機感を覚える出来事です。これが「認められたい」という感情の始まりです。親の愛を確認するために、または親の愛に替わる満足を得るために、人は何かから「認められる」という事を欲します。

この認められたい願望は、やっかいなことに相対評価で出来ています。周りの人が認められると、相対的に自分の評価が下がったように感じてしまうのです。だから人は自分の相対評価を下げないために、損得で物事を考えたり、時には他人を攻撃したりするのです。


この “認められたい願望”の存在を知っておかないと、組織のどこかに歪みを抱えることになります。「人の多様性を使う組織」以前の問題です。勘のいい方はお分かりのとおり、現在の企業・組織マネジメントで、既に起きている問題です。

抑圧的な上司を生み出す事もあるでしょうし、社員個人が心身を病んでしまう事もあるでしょう。人が人を攻撃する状態を放置しているのですから、人の強みを使う以前の問題です。

これを解決しなくては、組織の生産性はあがりません。知識を使い、人の強みを使うことを通して成果をあげるこれからの時代、「人の多様性を認める」マネジメント手法は、もはや成果をあげる必須条件と言えるのではなないでしょうか?